動機:書名に惹かれたから。自分に足りないものは、まさに「科学的」な「セルフコントロール」術であると感じる。
目次:はじめに
本書の特徴
一章 仕事のずるずる
二章 生活のだらだら
三章 体のずるずる
四章 心のだらだら
おわりに
参考文献リスト
以下、引用。私的な備忘録なので、表現がかなり極端かもしれません。
「はじめに」から
・人間が行動を起こすとき、「体の動きが先で、脳の指令が後」というのが現在の科学の定説です
・セルフコントロールにおいても、「具体的な動き=アクション」が非常に重要になる
・「どういうアクションをすればより上手にセルフコントロールできるのか?」というテーマを掲げた
・本書の特徴は、心理言語学者と医師との共著であるという点
「一章 仕事のずるずる」から
・やる気を出すには、とにかく「やる」しかありません
・環境が人間の意思決定を司ります。そうせざるを得ない環境を作ってしまったらやるしかなくなるのです
・好きな香りに囲まれていると、やる気が出る
・仕事部屋に「やるぞ!」と紙に書いて貼っておくのは(古典的イメージに反して)効果的
・可愛い写真を見ると、仕事に対する集中力が上がる
・心配事のほとんど(95%)は起こらないこと自覚する
・小刻みにした学習ポイントごとに小さな御褒美が与えられることで、オンライン学習の自律的モチベーションが向上することがわかった
・仕事のモチベが上がらない時は、仕事場所を変える
・目標を細かく区切って小さな成功体験を積み重ねることでやる気が出る、自信につながる
・「ポモドーロ・テクニック」タイマーを使いながら、25分作業して5分休む。30分 1セット。4セット後、30分休む。ただ単に作業時間を短くするだけではなく、25 分の作業時間内にタスクを一つ完成させることを目標にする
・仕事を1時間早く切り上げる
・人間が物事をきちんと見るのは難しい。人はいとも容易く「目の前の出来事が見えなくなってしまう」。脳の特徴。
・「イフ・ゼン・プランニング」とは、「○○をやるとき」→「✖️✖️をする」という 行動のパタンを決めておくと、ミスが減る
・運動で脳に血を送る。心拍数が120/分を超えるような中強度の負荷がかかる運動をすること(例:階段の昇降20分)
・日本人は世界的に睡眠不足。OEDC加盟国30カ国の平均睡眠時間が8時間23分。日本は7時間22分。1時間も短い。
二章 「生活のだらだら」から引用。
・SNSの認知症リスクに関する研究。脳は「主語」を区別しない。たとえば、「あなたはつまらない人間だ」とSNSで発信しても、脳の中では「私はつまらない人間だ」と言ったことと同じ意味になってしまう。結果、有害。
・料理教室に通うと生存率が上がる。
・会話が失われる生活が続くと、オキシトシン(幸せホルモン)不足で幸福感の欠如になりかねないという点から、寂しさや孤独感は健康に悪い。
・オキシトシンは心を安定させる「セロトニン」の分泌を促し、セロトニンは良質な睡眠のために不可欠な「睡眠ホルモン」と呼ばれる「メラトニン」の原料になる。
・環境を変えて、積極的にコミュニケーションをとりたいと思えるようになろう。例えば、ジムに通うのも、パーソナルトレーナーをつけるとか。
・自分の望む自分でいられそうな場所、なりたい自分にさせてくれる人と出会えそうな場所を考え、自分をその環境に置けるように努力してみましょう。(これ大事)
・何かを抱きしめるだけで幸せホルモンが出る。
・先延ばし癖(英語では procrastination)は研究対象として議論も盛ん。主に知られている原因9つ。①衝動性(悪い結果になってしまうかもしれない行動を、あまり深く考えずに行ってしまう)②セルフ・モニタリング(自分が他人からどう見られているかを気にすること)③計画と整理 ④行動の切り替え ⑤課題開始 ⑥課題の進捗の監視 ⑦感情のコントロール ⑧ワーキング・メモリ ⑨一般的な几帳面さ
・先延ばし癖の改善策。①すぐに得られる喜びや報酬があること ②ほかの行動の選択肢を減らすこと ③失敗への不安を取り除くこと
・遅刻の原因4つ。①何かに集中しすぎてしまう ②時間間隔が発達していない ③忘れてしまう ④時間の逆算が苦手
・遅刻癖を直す方法。ジムに通うようになると「義務や約束を守るようになる」という結果が出ている(!)
・長時間の座り作業は寿命を縮める
・勉強のコツは、人に教えるつもりになること。「つもり」大事。
・勉強開始10分前に散歩をする。脳に血を巡らせる。スクワットとかでもいいんかな。
「3章:体のずるずる」より引用。
・食欲のコントロールの研究から、指で自分のおでこを30秒間タッピングするのを4セット行うと、食欲が三分の一まで減少する(!!!)脳の注意を空腹よりそのアクションに向ける効果があるから。
・20分間早歩きをすると食欲が減る。
・クッキーの香りをかぐと、健康的な食事を選ぶようになるという研究結果がある。食べ物の香りをかぐことで、脳に満足感が湧き上がるためとのこと。
・感謝すると寝つきが良くなる。
・10分間のストレッチをすると寝つきが良くなる。
・意識して二度寝をする。例えば7時半に起きたいのなら、6時に一度起きて、意図して二度寝をする。90分間がベスト。
・目覚めてすぐに前日のあった楽しい出来事を思い出すと寝起きが良くなる
・背筋を伸ばすとパフォーマンスが上がる。背筋が伸びると鬱に効く。
「4章:心のだらだら」より引用。
・心配性については、「不安になるのは決して特別なことではない」ということを理解することが一番大切。半分は遺伝からきている。
・自責の念に駆られそうになったら、「禊」のつもりでハンドソープを使って手を洗うといい。
・「セルフ・コンパッション」という手法。ある失敗が、仮に本当に自分の生だったとしても、「人間だもの。頑張ったのだから仕方ない。」と受け入れる。「成長して次への糧にしよう」と思いやりのある言葉を自分にかけて、自分を認める。
・小説(フィクション)を読むことで共感力が高まり、感情が揺り動かされる。
・ラムネを食え。
・幸福度にとっては、「どんな決断をするか」よりも、どんな選択肢でも、「決断してしまうこと」のほうが影響する。コイン投げやあみだくじでもいいから、とにかく「決断してしまう」のがベスト。決断しないまま保留するストレスは相当高い。
「おわりに」より引用
・努力を継続できる理由は、「未来をリアルに想像しているから」という実にシンプルなものでした。・・・ポイントは、こうなりたいという理想の未来ではなく、このままだとだめだという実質的な害がある未来を想像することです。
・人間はやったことよりもやらなかったことを後悔するということが研究から明らかになっている。兎に角何も考えずに兎に角始めることも大切なのです。(引用終わり)
感想:とにかく行動することが大事ということが分かった。技術というのは大体においてそうなんだろう。実際にやりながら習得するものだ。セルフコントロールの習得は、細かい技術の集積の結果であって、習得に至るまでの過程こそがむしろ目的であり、楽しみでもあるのだろう。