Abyss

本や音楽、映画の感想、日常のエッセイ、旅行記などなど、生活を題材に色々書きます。

私的仕事論

 仕事のことを考える。ぼんやりと、「やるべきこと」が30~40個くらい思い浮かぶ。それを紙の上に書き出して、優先順位を付けて、締め切り日を考えて、逆算して・・・のようなことを想像する。吐き気のようなものがこみ上げてくる。

 私はマシーンではない。私は人間である。今書いたような仕事の「やり方」が、私には合わない。それは私が人間だからである。合理的な仕事の仕方が、私には合わない。私は、自分に合う仕事の仕方を編み出したい。

 私は人のために何かをするのが好きである。他者志向型の人間である。他者ありきで何かを考える。自分の中を覗き込んでも、伽藍洞のように、何も見つけることができない。内面の観察に向いていないのだ(だから、自分の頭の中に「やるべきこと」を見つけようとするのが向いていないのだろう)。「やるべきこと」は、私の中には無い。それは、自分と相手の間に浮き上がる。やるべきこととは、言い換えれば、「約束」である。私は、やるべきことをやるのではなく、約束を果たしたいと思う。

 私が一番恐れることは、相手と交わした約束を忘れることである。不義理を一番恥じる。仕事において一番大切にしたいことは、義理を通すことであり、周りの人から「義理堅い」という評価を受けることが一番求めることである。

 となれば、私の仕事のやり方は自ずから見えてくるはずである。まず内面を見つめないこと。そういう時はタバコを吸うか、音楽を聴くか、本を読むかすること。私の仕事のやり方は相手本位である。相手が何を求めているのかを想像すること。ここから思考を始める。

 目の前に相手がいると想像する。その時相手が何を考えるのか、何を求めるのか、その求めるものを私はどう提供するのか。(私は生まれついてのおべっか精神があるのかもしれん。)相手を喜ばせること。それが自分の仕事の目的である。仕事のやり方も、この目的を達成するために設計されるべきである。

 相手本位で考える。少し頭が整理された気がする。