Abyss

本や音楽、映画の感想、日常のエッセイ、旅行記などなど、生活を題材に色々書きます。

悪癖の断ち方

 理想的なルーティンを作ってみた。起きてから出発までのルーティン、家に帰ってから眠るまでのルーティン、健康管理のルーティン、勉強のルーティン、家事のルーティン、仕事のルーティン、休日のルーティン。週のルーティン、月のルーティン、季節のルーティン。ルーティンだらけである。生活とはルーティンでできていることがよく分かる。

 ルーティンとは、習慣全体を指すと同時に、個別的な習慣的行為の一つひとつを指す場合もある。ルーティンとは、規則的なものであると同時に、秩序自体を指すこともある。ルーティンは、現実的なものであると同時に、理想的なものでもある。ルーティンとは、決まりきった仕事や機械的作業、お決まりの手順を意味することから、「ありきたり」「ごく普通」あるいは「つまらない」ことを含意する場合がある。だが、私が考えようとしているものは、必ずしもそうではない。

 別に「ルーティン」という言葉にこだわっている訳ではない。routine(ルーティン)の類義語を挙げてみようか(オックスフォード類語辞典参照)。

【「決まった仕事」の類語】 
procedure(手順)
practice(実行)
pattern(型)
drill(やり方)
regime(規則的に繰り返される事象)
groove(決まりきったやり方)
program(計画)
schedule(予定表)
plan(計画)

【「決まったやり方」の類語】
formula(公式)
method(筋道)
system(体系的方法)
orders(命令)

【日本語の「ルーティン」に相当する類語】
ways(習慣)
customs(慣習)
habits(癖)
usages(用法)

 だんだんと、「ルーティン」の意味する領域が見えてきたような気がする。決まりきった仕事を、決まりきったやり方で、計画表や予定表や仕様書通りにこなしていくことで、それが体系化され、筋道となり、習慣となって、社会化されれば慣習となる。言葉遣いで適用されれば「慣用句」や「語法」となり、個人の生活的行為に適用されれば「習慣」となる。

 とにかく、私はそういうことを今やろうとしている。生活再建。そう言った方が正確かもしれない。或いは、悪癖を断ち切りたいと思っている。悪癖を良い習慣に置き換えたい。悪癖もまたルーティンである。ルーティンには二つあるのである。良いルーティンと悪いルーティンの二種である。私は、良いルーティンを継続したいと思っている。悪いルーティンを捨て去ろうと思っている。自覚している悪いルーティンの中で特に矯正したいものは次の10個である。

  • 遅寝遅起き
  • 過食過眠
  • 先延ばし癖
  • 計画倒れ
  • 浪費癖
  • 飽き性
  • 書類の管理が下手
  • 確認不足、不注意
  • 「想定力」の欠如、事前準備不足
  • 自己否定的思考様式

 何事も両面ある。大学院で多少文学を齧ったことで得た一つの教訓である。あらゆる表象、シンボルは両価値的であり、絶対的な善や悪は存在しない。それは人間の個性にそのまま当てはまる。絶対的な善人もいなければ、絶対的な悪人もいない。「良い」個性などない。個性は良くもあり、悪くもあり、それは側面である。見え方次第である。問題は、むしろ、どうやって光を当てるのか、その光の当て方である。言いたいことはそれに尽きる。だから、今挙げた10個の「悪癖」も、見方次第では、実はそんなに悪くもないのかもしれない。もちろん、自分で「悪癖」と読んでいる訳だから、矯正したいに決まっている。ただ、他人から見たら「そんなに悪いものでもない」と思われるかもしれない、という話である。伝えたいことは、自己との適切な距離の取り方である。自分は自分が思っているほど「悪く」ない。逆も然り。そんなに「良く」もない。真実の自己は、自己と他者の間にある。となれば、真の自己改善も、他者からの評価や指摘抜きにはあり得ないだろう。

 話が飛びすぎた。とにかく、私は、今列挙した10個の癖を直したい。癖が出る前に、それを制御したい。それを発動させないよう工夫したい。癖を治すための道具は何か。スマホは本来そういう時に使うべきツールである。忘れっぽいならリマインダー機能を使えばいい。紙で記録するのが面倒なら、アプリに記録させればいい。

 どのようにして悪癖を断ち切ればいいのか。一個ずつ改善案を出すこともできるが、それも少し退屈である。まずは意識することから始めたい。

 紙に書き出して、目に付く所に貼り出す。まずは意識することから。